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27期(3年)初めての都大会で奮闘

いつもは仲の良いハルと太一朗が、そのときは目を合わせなかった――。

2018年3月11日、東京・府中少年サッカー場で「トーマス交流会 第1回東京都3年生サッカー交流大会」が開かれました。小学3年生向けに今年から設けられた「東京都大会」の記念すべき第1回。われらが27期は区の予選を勝ち抜き、見事に初開催の都大会への切符を手にしたのです。

「宣誓、我々は―」。

開会式での選手宣誓は、東京・西多摩郡から来た瑞穂第三小学校のキャプテン。「高校生か?」と思うくらいしっかりとした口調での宣誓でした。エスペランサの選手たちが落ち着かない様子でその宣誓を見つめるそばで、パパコーチの一人がつぶやきました。「さすが都大会」。

さあ、いよいよ初戦がスタート。相手は八王子の「FC COLORS」です。2年生時にも一度「国立カップ」という大会で対戦したことがありましたが、その時は0-3で完敗。都大会の大舞台で雪辱を晴らすチャンスでした。

しかし、相手は10番を中心に、巧みなボールさばきで27期を翻弄してきました。立て続けに失点。次第に選手たちの気持ちも折れそうになっていきました。前半は0-4。ハーフタイムでは小武コーチが「気持ちを切り替えよう。まずは1点を取りにいこう」と発破をかけました。相手の攻勢に耐え、何とか無失点でしのぎましたが、得点はならずに0-0。結局、前後半で0-4と大敗でした。

「お前から言ってきたんだろう」

試合後、いつもは仲の良いハルと太一朗が言い争いをしていました。二人とも目を合わそうとしません。都大会の独特の雰囲気に呑まれ、いつものようなプレーができないフラストレーションが、選手の間で溜まっていました。

「チームのために必要と思うなら事情を話してくれ。自分自身の問題なら何も言う必要はない」。

選手を集めたミーティングの場で、パパコーチとして選手を率いる小武コーチは、ハルと太一朗にこう声をかけました。二人とも「自分自身の問題」と小さな声で答え、感情は自分の中にしまい込みました。

小武コーチはこう振り返ります。「二人とも悔しかったんでしょうね。後で聞くと、互いのプレーに文句を言ったとのこと。普段はそこまで言い争うことはない二人も、都大会という見えないプレッシャーがあったのかもしれません」。

そして2試合目。相手は西東京市の碧山SCです。立ち上がりにまさかの2失点。「またか」。ベンチにいるコーチ陣、応援に来ている父母たちの間に、嫌な雰囲気が漂いました。

しかし、ここからの展開は初戦とは違いました。ナオがシュートを決め、1対2で前半を折り返すと、エスペの反撃が始まりました。キックオフから相手に素早いプレッシングをかけていた駿甫が、一貴のセンタリングに反応し、右足でゴールを奪って同点に。さらにチーム1のキック力を誇るレイのコーナーキックを、ナオがスルーしたところ、フリーで待っていた一貴が押し込んで逆転。ベンチと応援席から大きな歓声が上がりました。続いて駿甫が追加点。結局4-3で見事に都大会の初勝利を手にしました。

選手たちも破顔一笑。試合終了のホイッスルが鳴ると、選手同士、ハイタッチを交わしました。その中に、ハルと太一朗の二人が、笑顔でハイタッチする姿も見えました。

都大会という普段より少し大きな舞台で、プレッシャーと戦った選手たち。相手に勝ったことより、むしろ自分の中のプレッシャーに勝ったことこそが、一番の勝利と言えるでしょう。

都大会には、小学1年生時から3年間コーチを務めてくれたOBパパコーチの皆さんも応援に来てくれました。都大会は3年間の集大成で、OBパパコーチにとっても“引退試合”と言えるものでした。「OBパパコーチを都大会に連れて行くぞ!」。その誓いの言葉を実現させ、本番で見事な戦いを見せてくれた選手たちを、パパコーチたちは誇りに思いました。